この記事では、画像認識と画像処理の違い、それぞれの役割、実際の開発現場でどのように組み合わせて使われるのかをわかりやすく解説します。
画像認識と画像処理は、どちらも画像を扱う技術ですが、目的や役割は異なります。
画像処理は、画像そのものを見やすくしたり、解析しやすい状態に変換したりする技術です。一方、画像認識は、画像の中に「何が写っているのか」「どこにあるのか」「どのような状態なのか」をコンピュータが判断する技術です。
近年ではAIやComputer Visionの発展によって、画像処理と画像認識を組み合わせたシステムが幅広い分野で利用されています。
画像処理とは
画像処理とは、デジタル画像に対してさまざまな処理を行い、画像を見やすくしたり、後工程で利用しやすい状態に変換したりする技術です。
代表的な処理には、次のようなものがあります。
- 明るさやコントラストの調整
- ノイズ除去
- 色補正
- シャープネス調整
- 歪み補正
- 画像の拡大・縮小
- 特徴抽出のための前処理
例えば、暗い場所で撮影した画像を明るく補正したり、ノイズの多い画像から不要な成分を取り除いたりする処理は、画像処理に含まれます。
カメラシステムでは、AE(自動露出)、AWB(オートホワイトバランス)、AF(オートフォーカス)やISP(Image Signal Processor)なども、画質や撮影品質を支える重要な技術です。
画像認識とは
画像認識とは、画像や映像の中から対象物や状態、特徴を識別する技術です。
例えば、
- 人が写っているかを判定する
- 人数を数える
- 車両を検出する
- 商品や部品を識別する
- 異常や欠陥を検知する
- 特定の場所や状態を判定する
といった処理が画像認識にあたります。
近年では、機械学習やディープラーニングを活用した画像認識が広く使われており、従来のルールベースだけでは難しかった複雑な判定も可能になっています。
画像処理と画像認識の違い
最も大きな違いは、「画像をどう扱うか」です。
画像処理は、画像そのものを加工・補正・変換する技術です。
一方、画像認識は、画像の内容をコンピュータが理解・判定する技術です。
例えば、監視カメラの映像から人の人数を数えるシステムを考えてみます。撮影した映像が暗かったり、ノイズが多かったりすると、AIが正しく人物を認識できない場合があります。
そこでまず、「明るさを補正する」「ノイズを除去する」「認識しやすい状態に画像を整える」といった画像処理を行います。その後、「人を検出する」「人数を数える」という画像認識を行います。
このように、実際のシステムでは画像処理と画像認識は独立した技術ではなく、組み合わせて使われるケースが多くあります。
Computer Visionとの関係
画像処理や画像認識を含む、より広い技術分野としてComputer Visionがあります。
Computer Visionは、コンピュータが画像や映像から情報を取得し、現実世界の状態を理解するための技術領域です。
その中には、
- 画像処理
- 画像認識
- 物体検出
- セグメンテーション
- トラッキング
- 3次元認識
- 映像解析
など、さまざまな技術が含まれます。
つまり、画像処理や画像認識はComputer Visionを構成する重要な要素の一つと考えることができます。
実際の開発では「AIだけ」では完結しない
画像認識システムというと、AIモデルの精度だけが注目されがちです。しかし実際の開発では、AIモデル以外の要素も認識精度やシステム品質に大きく影響します。
例えば、
- カメラの選定
- レンズ
- 撮影距離
- 光の状態
- 露出
- ホワイトバランス
- フォーカス
- 画像補正
- AIモデル
- エッジデバイス
- 通信
- システム全体の設計
など、多くの要素を総合的に考える必要があります。
高性能なAIモデルを利用しても、入力される画像の品質が低ければ期待した認識精度が得られないことがあります。
そのため、画像認識システムでは「AIモデルを選ぶこと」だけではなく、カメラから画像処理、認識、システム実装までを一体で考えることが重要です。
NeoTech Innovationが考える画像技術
NeoTech Innovationでは、画像認識だけを単独で考えるのではなく、カメラ・画像処理・Computer Vision・AIを含めたシステム全体の設計を重視しています。
画像を認識する前には、必ず「画像を取得する」という工程があります。そして、その画像の品質は、
- カメラ
- レンズ
- AE
- AWB
- AF
- ISP
- 撮影環境
などによって変化します。
そのため、画像認識の課題をAIだけの問題として捉えるのではなく、「どのような画像を入力として与えているのか」まで含めて考えることが、実際の現場では重要になります。
まとめ
画像処理と画像認識は似た言葉ですが、役割は異なります。
画像処理は、画像を補正・加工・変換し、利用しやすい状態に整える技術です。画像認識は、画像の中に何があるのか、どのような状態なのかをコンピュータが判断する技術です。
そして実際のシステムでは、この2つを組み合わせて使うことが一般的です。
AIやComputer Visionを活用したシステムを考える際には、認識モデルだけを見るのではなく、画像取得から画像処理、認識、システム実装までを一体として設計することが重要です。